幽霊にイライラする日々
ハヤシさんの無音な移動にハラハラする日々が続き、私はなんとか事前に察知する方法を編み出そうとしましたが、結局どれもうまくいかず、徒労に終わるばかりでした。
幽霊にビクビクすること自体もストレスではありましたが、この頃の私はとにかく忙しく、休み時間もほとんど取らずに働いていました。
そのため、ハヤシさんと勘違いして、いちいち幽霊に反応したり、わざわざ視認したりする時間を、ひどく無駄に感じるようになっていったのです。
思えば、この頃から、私は幽霊に対する免疫がついていったのかもしれません。
ある日、私がピリピリとしながら仕事をしていると、背後で足音が止まりました。
幽霊か、ハヤシさんか、そのどちらかです。
私はちらりと下のほうを見ました。
後方に、足が見えます。
……ハヤシさんっぽい。
すると、その直後、背後から声が聞こえました。
「あのぅ……」
私はそのまま振り返りました。
――ただの幽霊でした。
・・・幽霊でした・・・
・・・・霊でした・・・
その瞬間、猛烈に腹が立ちました。
当時の私に除霊ができたなら、即座にやっていたと思います。
もし私がバハムートだったなら、迷わずメガフレアを放っていたはずです。
忙しい中で、無駄な時間を使ってしまった自分にも、強く苛立ちました。
そして、その怒りは、なぜか、かわいそうなハヤシさんに向けられることになったのです。