うめきやさんのこと
山本さんは、霊の声が「聞こえるタイプ」の人でした。
そして、特に子どもの霊に好かれやすい体質だったため、子どもの霊をとても怖がっていました。
そんな中で、私があの部屋で一番怖かった存在がいました。
それが「うめきやさん」です。
うめきやさんは、女性の霊でした。
彼女は、夜になると現れます。
まず、「パン!」というラップ音が数回鳴り始めます。
すると、部屋のどこか、少し離れた場所から、うめき声が聞こえてきます。
そして、その声はだんだんとこちらに近づいてくるのです。
うめきやさんは、途中で止まることがありません。
ですから「仕事のキリがいいところまで待ってほしい」と思っても、もちろん待ってくれるわけではありません。
そのため、かなり近くまで来られると、私は仕事がどれだけ中途半端でもそのままにして、いったん部屋の外へ出ていました。
そんな日々が続くうちに、私はだんだんと恐怖感がバグってきました。
あるとき、私は山本さんにこんな話をしました。
「うめきながら近づいてくる人がいるから、いつも逃げてるんですけど……
あれって、逃げないでいたら、近づいてきた後ってどうなるんですかね?」
私がヘラヘラしながらそんな話をすると、山本さんは怒ったように言いました。
「そ、そんなこと、笑いながら言うことじゃないでしょ!」
私は、彼女がどうしてそんなに怒るのか分かりませんでした。
ですが、その理由は、意外なところから明らかになっていったのです。